
「うがいでむし歯予防って、本当に効果があるの?」
そんな疑問をお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。
11月の記事ではフッ化物(フッ素)について基本をお伝えしましたが、今回はさらに一歩進んで “フッ化物洗口=うがいで行うむし歯予防” に注目。
メリットやデメリット、安全性、いつから始められるのかなど、実際によく聞かれるポイントをわかりやすくまとめました。
お子さんのむし歯予防にフッ化物洗口を取り入れるか迷っている方の参考になれば嬉しいです。
🔗前回の記事はこちらから
フッ化物洗口って何? フッ素うがいでむし歯を防ぐ効果があるって本当?
目次
■フッ化物洗口とは?
まずは「フッ化物洗口とは何か」を正しく理解していきましょう。
◎フッ化物洗口は口をすすぐだけの簡単なむし歯予防法
フッ化物(フッ素)が入った洗口液で毎日、または週1回うがいを行う方法です。
学校・幼稚園・保育園で集団実施されている地域もあり、科学的根拠が確立された予防法として広く利用されています。
◎愛知県でも公的に推奨されている予防法のひとつ
当院・わたなべ歯科がある愛知県でも、県全体でフッ化物洗口の導入を推進しており、各市町村が学校や園児を対象に取り組みを進めています。
※参考:[愛知県のフッ化物洗口について(愛知県公式)]
■フッ化物洗口のメリット
ここでは、フッ化物洗口の代表的なメリットを、エビデンスに基づいて整理します。
◎簡単なので習慣化しやすい
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歯磨きが苦手な子
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奥歯の溝が深い子
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歯並びにより磨きにくい子
にも“うがいだけ”で予防できる点は大きなメリットです。
◎再石灰化を促し、初期むし歯の進行を抑えられる
C0(白濁)など軽度の初期むし歯の場合、歯磨きなどのセルフケアと併用したフッ化物洗口で進行が止まるケースもあります。
◎家庭でも、園や学校でも実施できる
うがいをするだけの簡単な方法のため、日常の習慣に取り入れやすく、継続によって大きな効果を発揮します。
■フッ化物洗口のデメリット
一方で、フッ化物洗口について不安や疑問がある方も少なくありません。使用前に把握しておくべき注意点をまとめています。
◎即効性があるわけではない
効果は“続けること”で現れます。数日や数週間では変化を実感しにくいことがあるため、継続して行うことがポイントです。
◎正しい濃度で行わないと十分な効果が出ない
市販品や濃度調整が必要なものは、指導に基づいて使用する必要があります。
(園や学校での集団実施は濃度管理が徹底されており安全性が高いです)
◎うがいができない年齢の子は実施が難しい場合がある
フッ化物洗口は、基本的に「4〜5歳以上」を目安としています。飲み込んでしまう可能性が高い年齢には適しません。
◎甘味料入りの洗口剤は飲み込みやすいので注意
小さなお子さまの場合、味によってはつい飲んでしまうことがあるため、必ず「うがいができるかどうか」を確認することが大切です。最初のうちは保護者の方がしっかり見守ってあげましょう。
■フッ素は危険?
インターネットでは「フッ素 危険」という情報も見かけますが、多くは誤解です。正しい知識を持つことで、不安なく予防を取り入れることができます。
◎フッ化物洗口液の使用について
日本国内で使用されているフッ化物洗口液は、国の指針や国際基準に基づき、低濃度で製造されており、管理された条件下で使用されることを前提に安全性が確認されています。
適切な濃度・使用方法(うがいをして吐き出すなど)を守ることが推奨されています。
◎飲み込んでしまった場合の注意
うがいができる年齢での通常の使用であれば、重篤な健康被害が報告される例は少ないとされています。ただし、幼児や小さな子どもなど、うがいが難しい場合は誤飲の可能性があるため、必ず大人が見守りながら使用することが大切です。
【メリットと安全性を知れば、家庭でも安心して続けられる】
お子さまのむし歯予防は「うがいを習慣化するだけ」で大きく変わることがあります。
フッ素の利用を安全に続けるためにも、気になる点はいつでもご相談ください。
